シーマが凹んでいる状況について聞くべく、急ぎ植木邸へ入ろうとしたのだが、その前に無意識的というかとっさににシーマセールスマンに私は問うた。
「シーマは保険入ってますよね?」
「・・・はい」:セールスマン
<これを聞いたのは、凹んだ原因が○○だろうというコンセンサスが暗黙の中に存在しているのを感じたのと、○○をかばう本能が働いたのだろうと思い返すのだが・・・>
確認して私ら3人は家へ入っていった。
「帰りました」と玄関で言い、セールスマン2人を招きいれた。
「おう」とリビングから植木の声。
私を先頭に3人がリビングに進み、あの・・と口から今今出ようとするその寸前に、
「どうだった?」と植木が勢いのある声で聞いてきた。
どうだったって・・・・、こっちが気合入れて問おうとしている時に先を取られたのである。
人間まったく予想してない展開がくると、どうなるかご存知だろうか。(立会いで高見盛から張り手されたようなものだ)3人はまさに”ハトが豆鉄砲くらったような顔”をしていたに違いなく、私は段取りが狂ったことに対応し切れなかった。
「よかったですょ~」←とっさに出た言葉がこれ。
そしてまた、あの・・といこうとしたのだが、
「それでな」と勢い変わらない植木。二手目も先を許し、
「今回はシーマにしよう」とテキはキタのである。
こうこられるとこっちは返事がキマってしまう。
「そうですか、わかりました」
向き直ってセールスマンに
「じゃあシーマということで」と告げると、
セールスマンは「ありがとうございます」と言ってしまったのである。<シーマがベッコリ凹んでるやん!>
こうなったらしょうがない「色はどうしますか?」と流れで聞いた。
「色は紺がいいなあ」と植木。
そしてビミョーな沈黙があるかないかのタイミングで、
「じゃあ、そういうことで頼むな」と、キマリをつけられてしまったのだ。
セールスマンは「では手続き進めさせていただきます。失礼します。」と言い、3人は玄関ソデにはけた。まさに舞台で一芝居売ってきたというか、買わされたというか。相手役があの植木等だから太刀打ちできなかったというところか・・・、現実なのか?どっちなんだ。
3人外へ出て、良かったんだか悪かったんだかハッキリしない空気の中で、私は事後処理を完結させねばならない。
「凹みは保険で処理してください。自社工場でなんとかなりますね?」
セールスマンは「わかりました」と即答した。
これでなんとかランディングであろうが、何のために来たのか分からないのがBMWのセールスマンだ。実質まったく無駄足だったのだがそれは慣れっこだと思うし、イベント参加体験は貴重だったかも。しかしながら後から考えると面白い。この脇役が居なくては物語における人物構成がシマらなかったことを考えると鶏肋みたいなものか。<っていうかいつから物語になったんだ>
「今回はシーマということですが、また次の機会にお願いします」と礼を言って帰ってもらった。
植木号:日産シーマ |
当初シーマは引き立て役に回るはずで、外車好きの植木からして順当ならばBMWで決まりだったはずだが、似たようなことが芸能界でもある。
脇役で呼ばれた女優が主役の降板で主役に抜擢され、それを体当たり演技などと評されジャンプするケースもあるのだ。
世の中何が起こるかわからない。
「いつも備えてないと」とは植木等の言葉。
以後、この大事件(当人比)について植木が私に聞くこともなかったし、私も植木に聞くこともなかった。
○○かもしれないし、××かもしれない。
つまり真実は誰も知らないのだ。
しかし以後植木等の私に対する扱いが変わっていったのは気のせいではあるまい。
単に年月がそうさせたのか、・・・・なのか。
こればっかりはオヤジに聞いてみないとわからない。
完
「およみでない?」
<後記>
後々感じたのだが、車「どうだった?」と聞かれている時、試している様な目線だったような。この試す視線は以後要所で見かけることになるのだが。<この試され視線にシドロモドロなっている人を多く見た>
仮にぶつけたのが○○だったとしても、その修理費くらいは、○○にしてみれば大問題ではないのは明らかだ。<ごめんいくら?で済むレベルだろう>
このヤロウうまくカタつけたなというところか・・・。(誰が言ってるんだ?)
このシーマに関しては「松任谷正隆氏運転する柑橘カラーのプジョーに六本木交差点で割り込まれたこと」など逸話もある(ご本人も憶えているはずだ)。これはまたの機会にしたい。
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