2011/02/12

植木等・愛用の「パイプ」

植木等愛用のパイプ


写真のプレートにある通り植木は愛煙家でした、昔まではね。
クレージー映画を撮っていた頃はピース(いわゆる缶ピース)を吸っていたそうで、随分きついタバコを吸っていたもんです。
私が弟子となった1995年にはパイプで吸うということはしていませんでしたから、結構前に使っていたパイプということになります。

プレートは愛用品展示を頼まれた際に、依頼者によって作成されたようで、
「好きなパイプで好きなハッパを吸う時、生きている歓びをつくづく感じる。」は植木の言葉だと聞いています。

パイプは20~30本持っていましたから没後に家族は知人・友人に多くをプレゼントしていました。
このパイプは没後ではなく、生前に植木から「お前に1本やるから好きなの選びな」と言われ、素人ながら一番高そうなのを選んだものです(笑)。
選んだ後に「どれが一番高いと思う」と聞かれたので、自分の手にしたやつを「これじゃないですかね」と言うと、「これなんだよ」と全く見当違いのものと教えられました。最初に教えて欲しかったっていうの!

でもこういうものは高い、安いではありません。自分が気に入るか、気に入らないかですから。
じゃあ元に戻って、これが一番高いんだけどどれにするって聞かれてても、やっぱりこれを選んだはずです。

現在はデスク上のトレイに置いて時おり眺めています。
ちなみに写真のパイプを置いているところがそのデスクですが、この机は植木が書斎で使っていた愛用品で、これまで多くの台本を載せ、読み込んできた場所なのです。
今は私が譲り受けて大切に使っています。

パイプを手に取るとハッパのいい匂いがします・・・・・。
パイプについて一応書いとこう、分かる人がいるかも知れないから。
「Butz Choquin STCLAUDE FRANCE1596」と刻印

2011/02/02

「お呼びでない」ギャグの誕生諸説①

「お呼びでない」ギャグとは、
植木等の代表的なギャグで、あるストーリー上まったく突飛であったり、つながりのない人物(植木等)が登場して「お呼びでない、お呼びでないね・・・・・、こりゃまた失礼いたしました」と去っていくものです。

このギャグの誕生エピソードとしてはいくつかあり、どれが真相なのかを考えてみたい。
もちろん私も生前の植木から直に聞いているのですが、はたしてそれが正しいのかも考えてみたいのです。

諸説は以下に記します。


[1]植木等の付人だった小松政夫が、オヤジの出番をとちってしまった

おそらくこれが正しいと一番多く周知されているのではないでしょうか。シチュエーションとしてはこうです。
シャボン玉ホリデーにて当時植木の付人であった小松政夫さんが、植木の出番がきたと勘違いし、セット裏で待機していた植木に「オヤジさん出番です!」と言った。
出とちってしまったと思った植木は大慌てでセットに飛び出したが、実際にはまだ前のコントが終わっておらず、逆の意味で植木の出とちり?となってしまった。
当然そのコントの出演者は、あれ?植木さんなんででてきちゃったんだ??となり、しばし沈黙があった。
植木も、あれ?まだおれの出番じゃなかったの?と思ったが戻りようがない、なんせ生放送だから!
植木は瞬間的に反応したのだろう、「お呼びでない、お呼びでないね・・・・こりゃまた失礼いたしました!」といって引っ込んだ。
この台本にない出来事が、なんとも言えない面白さを生み、ディレクターの秋元近史さんが、これは面白いっていうんで毎週やろうということになった。


これは本人が言ってるんだから間違いないだろうと普通は考えますよね。
ところが小松政夫さんは植木等お別れの会の弔辞にて、このエピソードについてこう語っている。
「お呼びでないギャグは小松の勘違いから生まれたと、オヤジさんはおっしゃってますが、本当だとしたら私は付人失格です。あれはオヤジさんが、私のために面白いエピソードをつけてやろうという思いやりじゃなかったんでしょうか。私はそう思っております。」
細かい言葉づかいが違うところがあるかも知れませんが、大方合っているはずです。私も生で聞いていたのですから。

小松さんのこの話が本当だとすると、お呼びでないギャグはどうやって生まれたのか。
これに対する説を小林信彦さんが著しているので検証してみたい。

時間がないので今日はここまで、私の論考も含めて後日記すことにします。