『今だから!植木等』発刊のお知らせ
私の寄稿文16Pが掲載された高田雅彦著『今だから!植木等ー“東宝クレージー映画”と“ クレージー・ソング”の黄金時代』 がアルファベータブックスより発刊されました。
登場人物:小松政夫・斎藤誠・砂田実・古澤憲吾・坪島孝・ 浜美枝・柳生悦子・竹中和雄・渡邊毅・高田梅三郎・小中千昭・ 谷啓・世良譲・渡辺香津美・山岸潤史 他・藤元康史
コロナ禍の渦中である「今だからこそ見たい!聴きたい! 植木等の映画と歌」とのメッセージを込め、 植木等研究本としてのリリースです。
著者とは、クレージー映画ロケ地巡りの企画である「成城・ せたがや映画散歩」にて出会い、 私のプロデュースしたMIEMU2017企画展「 植木等と昭和の時代」制作において、 大林宣彦監督へのインタビュー取材をコネクトしていただいた恩人でもあります。
著者は38年前に成城大学校友と音楽仲間のコネを駆使して自主映 画「刑事あいうえ音頭」を製作・主演し、この作品に植木等、谷啓、 桑田佳祐らにノーギャラ出演してもらったという伝説を残す人物で、本編を観た私はノリで出演したキャストたちと、こんなことがまかり通った時代に仰天した次第・・・ 。
本書の起案にあたって協力を依頼されたため、 微力ながらプロダクションへのコネクトや、資料提供、 インタビューセッティングを協力させていただいた。
また、寄稿の依頼も受け、植木没後ますますその存在の大きさをかみしめている、この人無くして「植木等」はなかった植木徹誠老師と、我が師匠についてを巻末に16P掲載されています。
植木等・クレージー映画・音楽ファンはもちろんのこと、昭和・大衆・娯楽映画の解説本としても大変面白い内容となっており、お読みいただけると幸いです。
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本書は、東宝映画研究家でクレージー音楽のファン・マニアでもある高田雅彦氏が、 1984年撮影の自主映画に植木等の出演を果たしてから38年持 ち続けた夢の集大成と言える。
高田氏は本書にある通り幼少から映画・ テレビでの植木等の大ファンとして育ち、 上京して東宝撮影所の近所である成城大学に入学し、 そして植木息女と校友であるコネを駆使して、 砧植木家の庭で植木等を自主映画に出演させてしまい、 その後クレージー映画・音楽研究を継続していたところ、 これにとどまらずとうとう412Pに及ぶ植木等研究本の刊行に至 ったのは、まさにクレージー映画ばりのホラを吹きあててしまった。
著者選定のクレージー映画7本と挿入歌の解説は、 それぞれの時代背景やエピソード、 証言を高田氏独自の取材と観点からまとめあげていて、 植木ファン初級から上級者まで楽しめる内容になっている。
実際に私が大変おもしろく読めた。
また、 東宝の著作権がかかるスチールをこれだけふんだんに使えたことも 非常に贅沢なことだ。
各作品の高田氏文章と共にマッチする東宝秘蔵画像をも楽しんでい ただきたい。
私の寄稿文について。
高田氏にこの企画が本決まりになってから内容は完全にお任せす るので寄稿するよう依頼を受けた。
これまで1人秘密にしていた話を今回記した。これは不条理と沈没し行く日本への問題提起である。
映画・音楽の解説は高田さんが専門であるし、当時にまつわるエピソードはリアルタイムで付いていた小松さんのインタビューでお楽しみいただきたい。
小松さんへのインタビューは2020年1月に行ったが、これは2019年末に舞台『うつつ』 小松政夫の大生前葬を打ち上げた後の検査入院と治療入院の間で、このタイミングでしかインタビューの時間は取れなかったであろう。
まさに小松さん生前最後のインタビューとなった。
実は、クレージー映画上映会と小松政夫トークショーをセットして町興しイベントで催せないか、と地方有志から相談を受けていた。
パワー溢れるポジティブ映画と、この時代・制作現場を生で知る証言者とのセットはもってこいで、人の為になるイベントはきっと植木も応援してくれただろう考えていたが、小松さんなしではトークショーセットは成り立たなくなってしまった。
しかし、植木等が遺したものは娯楽映画だけではない。
クレージー映画30作終了の後、50歳を過ぎて植木が主演した『本日ただいま誕生』(原作:小沢道雄・監督:降旗康男・渡辺プロダクション)は、性格俳優への転機となった実話にもどづく名作である。
この映画は過去を問わず、たった今から生まれ変わって生きる(生まれ変われる)ことを描いている。
第二次大戦出兵から敗戦でシベリアに抑留され、零下40度の極寒で凍傷におかされ両足を切断し、引き揚げ時には満州の草原で鉄道まで担架を担ぐ同僚兵士4人に捨てられたが、奇跡的に現地人に助けられた。
そして、帰国し自分を捨てた元兵士と再会し、許し、裏切り、厭世と流転したのち、見知らぬ人々との交わりから真理を会得したのだ。
いまだ繰り返し私に感動を呼び起こすこの映画を必要とする人がきっといると感じ続けている。もしこの映画を届けることができるなら、植木から託された私にこそできる役割ではないか。
プランはできている。
問題は著作権だが、この映画は100%渡辺プロだから相談してみることにしよう。
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